2009年2月 1日 (日)

記念すべき1回目です

どこまでも青い空が続く2月最初の日曜日、砧(きぬた)公園駐車場で第1回・世田谷モーニングクルーズSMCが開催されました。まだSMCの存在をほとんど誰も知らなかったということもあり、参加車はたったの4台でした。が、えらく変なクルマ(と変なオーナー)たちが来たようです。

Smc0 久々登場のロンバルディと、謎のオイル漏れにとりあえずフードを開けてみた(だけで何もしなかった)ミニ。

Smc1 通勤途中にもかかわらず、ありがたくも激励に訪れた伝説のフィアットチューナー、M・トシリーと愛車のスズキ・ツイン。

Smc2 取り合わせが妙な4台。共通点は持ち主が重度のカーキチであるということくらいか。

Smc4 コブラ。漢だ。

Smc5 ハリブランドのホイールとラフにレタリングされたグッドイヤーの文字。

Smc6 GT40。エグゾーストノートはコブラとは全く異なる。フェラーリV8とも全然違う。

Smc7

タイヤは珍しいフージア。

Smc8 ラウシュチューンのフォードV8。底知れぬポテンシャルを持つ。

Smc9 60年代のクルマは、それがレースカーであっても観る者がその形に抵抗を覚えないというか、どこかやさしさのようなものを感じる。違う?

第2回SMCは来月3月1日の予定。雨天中止。参加資格はカーキチであることだけ、車種・年式は不問。毎月第1日曜日に砧公園駐車場(料金1時間300円)で朝9:00頃~11:00頃までいます。いつ来てもいつ帰っても構いません。

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2008年10月19日 (日)

早起きして走る

今朝はマシンで走るにはとてもいい感じの天気だったので、出勤前にテストコースをぶっ飛ばしました。081019_094302

甲州街道の並木。色付く前の緑と青い空。

081019_095103 橋を渡り、多摩川沿いの1本道をひた走るマシン。この道が気持ちいい。でもあっという間に道は終わってしまう。

081019_095101_2 4速全開9000回転でうなりをあげるエンジン。暴れるマシンを押さえ込みながらの激写(注:かなり大げさな表現が混じってます)。どこまでも走り続けたいと願う瞬間が久々にきた。

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2008年10月 8日 (水)

当社ワークスチーム近況

ロンバルディ代表兼雑用係の私が五反田の古書展で苦汁を飲んでいる最中、当社の特殊車両部所属・実験走行課は蓼科で開催された競技に参戦しておりました。ドライバーはワークス契約を結ぶイタリア系日本人にしてモデラーの顔をも持つハカマダーニ氏。

P1010002 当社広報部が撮影。ホテルの前で静かにスタートを待つ出場車たち。ここは日本か?ナンバーがなければヨーロッパのようだ。手前の青いのが復活したワークスカー。ファクトリーのおやっさんが徹夜で磨いてくれたのでピカピカです。いや行きたかったなあ。

P1010004 スタート。写真から判断するに、すでに6速250km/hは出ているようだ。命知らずのハカマダーニよ、グッドラック!

P1010009 他の参加車たちも紹介しておかないと、当社に悪評がたつのでとりあえずこの1枚。1台ブリキ細工のようなクルマが混ざっておりますが、ミニ・モーク(レアな初期型)というクルマです。イギリスのミニがベースの軍用車として誕生しました。多分ドライバーはすごく寒いと思います。

広報部の写真だけを見て、このレースを語るむなしさにも限界がきたので、最後に結果だけをお伝えして終わります。我がワークスカーは見事1位を奪取!本当です!そしてミニモークのドライバーは凍死したそうです。すんません、ウソです。来年こそは自ら参戦したいです。以上。

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2008年9月23日 (火)

フィアットその後

復帰にむけて工場入りしているフィアットだが、工場のおやっさんからは刻々と作業の進行状況が伝えられている。その内容は、だが、当初の予想よりもかなり手こずっているらしい。エンジンは復活したが、ブレーキが錆びで固着&フルード漏れを起こしているとのこと。屋外で長期間放置することがどれほどクルマにとって良くないか、旧車乗りの方は私を反面教師にして十分気をつけてください。

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2008年9月19日 (金)

クルマを工場に預ける

本日、長いあいだ駐車場でかたまっていたフィアットを積載車にのっけて、いつもの工場に預けた。最後に動いたのが確か去年の12月だから、人力とはいえ奴を動かしたのは9ヶ月ぶりということになる。それだけ放っておくと、クルマはどんどん傷んでしまう。奴はといえばタイヤの空気が抜け、バッテリーは完全にあがり、錆びの帯が涙の跡のようになっていた。すまんよ。俺がぜんぶ悪いんよ。積載車にのせるとき、駐車場(と住んでるアパート)の大家さんがわざわざ出てきて見送ってくれた。庭木の枯葉とかがクルマに落ちないよう、枝をわざわざ切ってくれてたとのこと。すんません、大家さん、コイツのためにそこまでしてくれてたなんて。ありがとうございます。来月には元気になって戻ってくるはずです。

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2007年12月11日 (火)

走る新型がいた

昨晩、家に帰るべく愛車のアイアンホース(動力源は俺の足)で渋谷の街を駆け抜けようとしていたとき、ニューフィアット500が走っているのを発見。ディーラー車はまだ発売されてないから、並行輸入で早速日本に入れた人がいるようだ。しばらく併走して、動く新型を観察させてもらった。はっきり言う。雰囲気はトヨタのヴィッツと変わらん。スタイルだけみれば、ニッサンのマーチのほうがエエ。あぁ、これで新型絶賛しまくりのクルマ雑誌とフィアット本社を敵にまわしてしまった。

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2007年10月25日 (木)

新型がいました

どうやら今年の東京モーターショーには、アバルト版はおろかノーマルのニュー・フィアット500すら来ないらしいです。なんじゃそりゃあ。(又聞きです。実は来てるのなら、この発言は忘れてください)GTRはそのうち街にどんどん繰り出してくるだろうから、わざわざ見に行くことはないし。ドライバーに話しかけてくるクルマとかテレビで出てましたが、もはや僕の理解をこえてます。そして今日、六本木のル・ガラージュに行くと、なんとニュー・フィアット500が展示されているのです。別にひな壇とかに飾ってあるわけでもなく、ポツンと。手を触れることはできませんでしたが、鼻をくっつけるようにしてジックリと眺めてきました。

071025_120301 071025_120303                   

で、感想を述べますと・・・・デカイ。ただデカイ。これは・・・・買わないな、僕は。かわいいお洒落な小型車が欲しいのなら最適だとは思います。でも、旧フィアット500のイメージだとか、サイズだとか、そういったオリジナルの持つ雰囲気や味を強く新型に重ねようとしても、かなり難しいです。まぁ、オリジナルと比べてどうだこうだと言っても仕方のない話ですが。けなしている訳ではありません。これが街中を走っていると、とてもいい感じだと思います。おそらく普段乗るには何の不満もないでしょう。でも、でもなぁ。       

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2007年10月17日 (水)

グランツーリスモ

実は今月号のクルマ雑誌「ティーポ」に、自分のフィアット500が出ている。箱根で仲間のフィアット500と2台で試乗レポートに供されたのだ。レポートを担当した某レーサーいわく、エンジンはいいが足回りはイマイチ、だと。そう言われてもなぁ、オイラは大満足で乗っておったのだが。あの路面に吸い付くような乗り味は、少なくともレクサスは超えているはずだ。それに、あのフィアットを箱根で試乗したのは少々いただけない。あれは峠をちょこまか攻めるためではなく、ハイウェイをどこまでも疾走するGT(グランドツーリング)として製作されたのだから。ただ今のところ、家財道具を積んで田舎に帰るというツラい都落ちグランドツーリングが実現しかねないので、これはなんとか避けねば。

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2007年3月 9日 (金)

目撃した

今日、表参道の交差点で白いフィアット500が走っているのを見た。見慣れているはずのフィアット500の姿があまりに小じんまりとしていて、結局走り去るまでその後ろ姿を見送った。よく言われることだが、フィアット500の見た目には「アイツがんばって走ってんなあ」と思わせる何かがある。たしかに、自動操縦一歩手前のような今のクルマに比べたら、がんばって走ってはいるのだが、運転している本人はいたって平和である。周りのクルマもフィアット500にはおおむね優しい。さて同じような雰囲気を持つクルマが他にあるかと探してみると、思い当たるのは、2ストの白煙をはきながら走っていたダイハツ・フェローやスズキ・フロンテ(リヤエンジンの奴)といった昔の軽四の姿だった。子供心に昔の軽は頼りなげに映ったが、でも好きだった。フィアット500が好きになった理由は、元をたどればそこにあるのかもしれない。

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2007年3月 6日 (火)

やっと目覚める

先週、我がフィアットが主治医(伝説のクルマ屋店主のこと)の尽力により、2ヶ月に及ぶ眠りから覚めた。氏が通勤途中にわざわざ駐車場まで寄っていただき、バッテリーをジャンプしてもらって、デスビ周辺を調整してもらい、ようやくエンジンが始動。一度エンジンがかかると、こいつは本当に調子がイイ。でも念のため、氏のお店までフィアットで付いていって、再度点検してもらった。氏よ、おかげさまで絶好調です。

0 3月24日に、スタジオタッククリエイティブ社から「フィアット500マスターブック」が発売されます。これ1冊にメンテ、修理、レストアなどのノウハウがぎっしり詰まっているようです。値段はチト高め(¥8400)ですが、待望のフィアット500日本語本ですので、期待して待ちましょう!

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2006年10月22日 (日)

究極のフィアット500を求めて その25

Sany0068 横に優秀なナビゲータがいたので、ラリー中は運転にだけ集中しておけばよかった。案の上、主催者M氏は最初のチェックポイントで見たきり、ゴールまでその姿をさらすことはなかった。結果から言うと、設定タイムより数秒遅れの私は総合で3位。優勝はフルノーマルの500Dに乗るFさん。このイベント出場車のなかで唯一のノーマル車ながら、コンマ数秒遅れのタイムをたたき出していたのは見事というしかなかった。クルマの性能差はドライバーの腕で十分カバーできることを証明した結果となった。とりあえず、大きなトラブルもなく(エンジン内部からかすかに異音がしてはいるのだが、怖くて聞かなかったことにしている)帰ってこれたので一安心だ。関係ないが、やはり次回ラフェスタ・ミッレミリアにはフィアット500で出るのが順当だろうと考えている。今の愛車で出るか、もしくは新たに「フィアット500・ティーポミッレミリア」を仕立てるかは思案中だ。イタリアの赤虫連中などは今のフィアットでも十分料理できるが、手ごわいのが多気筒&大排気量クラスであろう。ノーマルで2気筒500ccのエンジンは、最大に排気量を上げても1000ccには届かない。なんらかの過給機を装着するしか勝つ術はあるまい。絶対壊れるな。でもやってみたいな。

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2006年10月12日 (木)

究極のフィアット500を求めて その24

Sany0052_1 Sany0062 前日の宴会終了後、ホテルのロビーで幻のランボルギーニイオタを交えての華麗な走行会&前夜祭を催した。その模様が左側の1枚。酔ってたので、すばしっこいコイツらをうまくカメラで捉えられず、かなりイラついたぞ。そして翌朝の出発前の姿が右側の写真。エントラントたちの、激しく脈打つ胸の鼓動が聞こえてきそうではないか。みなさん順調にスタートを切り、メインイベントが始まった。ちなみに、先頭の黄色いフィアットにはこのイベントの主催者M氏自らが乗り込んでいる。もっともそれは盛り上げ役というような微笑ましい参加の仕方ではない。本気で勝ちにくるのである、この方は。だから、スタートとともにM氏の姿はあっという間に視界から消え、ゴールまで誰の目にも触れないという「地獄の神隠し走法」が例年おなじみだ。ただしラリーのようなタイムアタックではないので、ミスコースさえしなければ時間をオーバーすることはない。だから僕はあせらずコースを進んだ。クルマは快調だ。

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2006年10月 9日 (月)

究極のフィアット500を求めて その23

Sany0017_3 Sany0016_1 この2点の写真をご覧頂きたい。左側の写真のポイントは、ブローバイ用のキャッチタンクである。私のクルマに付いているのはプラスチック容器なのに、このクルマのはワンオフ・オリジナルなのだ。そのクオリティの高さたるや、そんじょそこらの市販アルミタンクの比ではない。このクルマのオーナーは某自動車メーカーの設計部の方で、自ら線を引いた図面を社内のコネを使って実物にしたというツワモノである(Mさんゴメン。バラしちまった)。そして右側の写真のポイントはブローバイホースが出ている筒状の物体。これは簡易ブローバイ還元装置ともいえる代物で、通常は垂れ流しかキャッチタンクに貯めるしかないブローバイが、この装置を経て再びエンジン内に戻されるというもの(間違ってたらスマヌ)。別にプラスチック容器でも性能的には大して変わりはないのだが、単純にうらやましいのである。人間でいえば、でっかい膀胱の持ち主か、あるいはタフな腎臓の持ち主といったところか。全然違うか。

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2006年10月 7日 (土)

究極のフィアット500を求めて その22

Sany0009 Sany0012 この集まりでは、なぜか皆クルマを止めるとまずエンジンフードを開ける。オーバーヒート気味という訳ではなく、見せびらかすという感じでもなく、とりあえずお互いの「違い」を認識しあう、というのが適当な表現かもしれない。カリカリにいじっているのもいるし、フルノーマルを保っているのもいる。共通していることは、どれも手入れが行き届いている点だ。私のはかなり汚れており恥ずかしい限りだが、他のクルマはエンジンルームもちゃんと磨かれていた。ボディをきれいにする人は多いが、エンジンルームまで磨く人は少ない。なぜならいくらきれいにしても他人にはわからないし、その割には手間が相当かかるからだ。その手間を惜しまないということは、そのクルマのことをとても大事にしているということ。そういう意味で今回集まった人たちは、口ではおおげさには語らないが、誰もフィアットのことが大好きなのがひしひしと伝わってくる。その日は宴会に突入し、翌日のイベントまでフィアットはしばしのお休みだ。ちなみに上の写真は、来る途中でタイヤがフェンダーに干渉して削れ出したため、伝説のメカニックであり孤高のモデラーでもあるハカマダーニ氏にお願いしてフェンダーのつめを叩いてもらっているという図。あやうくタイヤが裂けるところであった。

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2006年10月 2日 (月)

究極のフィアット500を求めて その21

Sany0013_2 Sany0073 この土日、小海で行われたフィアット500だけのイベント「500 Miglia Koumi」へ行って来た。会場まで往復400キロ、タイムラリーで走る距離が130キロ(その中には標高2000メートル以上の過酷な山越えも含まれている)と、私が1年で走る距離の大半はこのイベントで稼ぐといってもよいほど本格的なのだ。しかも、設定時間は決して楽なものではなく、ちんたら走っていたら間に合わない。そして山の上り下りで必要なエンジンパワー&ストッピングパワーも考えると、チューニングしたフィアットが断然有利なのだ。だから今年は密かに「勝ちに行く」気でいた、いや、勝つ資格を持つ者のみが放つオーラに他のエントラントは否応なく圧倒されてしまうかもしれない。続々と到着するフィアット500たち。だが、ここに集うクルマを外観だけで判断してはいけない。一見するとシチリア島あたりで地元民が足代わりに乗っているようなフルノーマル・錆びさび・動けばいいんです仕様でも、いざ走り出せばホンダ・アクティやスバル・サンバーを楽にカモれるほどの性能を発揮するクルマが多いのだ。勝ちオーラを出さないように注意しながら、チェックもかねて各マシンのエンジンルームを覗き込む。すると・・・。

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2006年9月27日 (水)

究極のフィアット500を求めて その20

車検だった。そのついでに全体的に気になるところをみてもらうと、いろいろ問題点が浮上した。これまでエンジンをかける時に、儀式とばかりにアクセルをバカバカとあおる必要があったのだが、それは何かがおかしいと店主は判断し、点検してくれた。結果、点火系統の配線に不具合が生じ、フルトランジスタが正常に作動していないことがわかった。点火が弱いため、濃い目のガスにしなければエンジンがかからない。そして点火不良により、常にプラグがかぶり気味状態なので、いまひとつパワーが出ない。フィアットは気がつかないうちに随分と力を失っていたことになる。フルトラ内部のトラブルシュートにはしばらく時間を要するので、そのあいだ久々にノーマルのポイント式デスビに戻すことになった。それでも走りは見違えるようにパワフルで、始動もアクセルをあおらずにチョークだけで一発OKとなった。そのほかはタイヤの交換、エンジン/ミッションオイルの交換などをお願いした。これで、近々開催されるフィアット500のイベントへの参加準備は整った。

店主より:今週の土曜・日曜は、イベント出場のためお店はお休みさせていただきます。

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2006年9月16日 (土)

究極のフィアット500を求めて その19

Sany0001_6今日は私の小さな相棒を紹介しよう。「究極のフィアット500」クンが卓上サイズになってやってきてくれたのだ。連載中のフィアットを、そのまま形にしたものだと思っていただいて結構。製作者は、ロベルト・ハカマダーニ氏。無名のモデラーだが、その作品には鬼気迫るものがただよう天才だ。Sany0003_1 写真には写っていないが、エンジンルーム、室内、フロアパンなど、あらゆる箇所が完璧に作りこまれている。それだけではなく、ホイールのトレッドの広がり具合、キャンバー角、車高まで同じなのだ。眺めていると、本当に今にも動き出しそうな気がする。当然のことながら、ハカマダーニ氏にはこのフィアットに乗る私自身のミニチュア製作も依頼したのだが、どんな恥ずかしい姿になって採寸されても構わない、と申し出たにもかかわらず断られてしまった。なぜだろう。

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2006年9月 5日 (火)

フィアット500とのつきあい方

フィアット500に乗るのは正直疲れる。たまにベンツやクラウンに乗ると、故障の心配はないし、ダンプに踏まれない限りは事故っても死なないだろう、とは普通に思う。楽しくはない代わりに、包まれ感はたっぷりと得られる。似たもの同志とされるミニと比べたって、「俺ちゃんとしたクルマに乗ってるぜ」的な感覚は、ミニの方がはるかに感じられる。でもフィアット500からは、何と言うか、かっちりとした工業製品を使うときに得られるような安心感が今ひとつ感じられないのだ。たとえそのフィアットが完璧にレストアされて、無理せず走らせていたとしても、である。他のフィアット500オーナーを見ていると、普通に通勤に使ったり、気軽に往復500キロ以上の長旅に出かけたりしているので、この感覚は多分僕だけなのだろうが。ではなぜフィアットに乗っているのかというと、形がカワイイからである。それだけが理由だ。あの形は何回見てもまったく飽きない。形がカワイイと思うクルマは数台あるけれど、フィアット500はそれらとはまったく比べ物にならない。本当はそばにあるだけで満足なのだが、たまたまそれがクルマなので動かしてます、というのが本音なのだ。それならナンバーを切って床の間にでも飾っとけばよいのだが、フィアット500のカワイさは床の間じゃ死んでしまうのだ。なんてことのない街角にポツッと止まっているときなんかにそれは際立つと個人的に思っている。だから、奴は現役のクルマのままで生き続けているのである。

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2006年8月19日 (土)

究極のフィアット500を求めて その18

フィアット500のイベントがあるとのことだったので、参加することになった。場所は蓼科。イベントは土日で、仕事のあった僕は土曜の夜中に徹夜で蓼科まで向かった。秋口の高原をフィアットで駆け巡るという経験は初めてだった。タイムラリー形式だったので、一日中フィアットを運転しっぱなしで、とても楽しかった。イベント以外でも、イベント会場へ駆け付ける途中で、朝もやのなか誰も走っていない高原の一本道をひたすら走り続けたことは忘れられない思い出だ。帰りの高速でマフラーステーが折れたのは誤算だったが、メカニズムについては他には何の問題も起こらず、快適な旅であった。

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2006年8月14日 (月)

究極のフィアット500を求めて その17

エンジンのかかりが悪い最大の原因は僕があまりフィアットに乗っていなかったことだ。1週間のうち1回乗ればよい方で、ひどい時は1ヶ月近く乗らないこともあった。そうすると古いキャブ車には冬眠してろと言っているようなもので、ただでさえかかりにくい冬には始動するのに1時間は費やしていた。なぜ乗らなかったのか。仕事で疲れきって乗る元気がなかったこともあるが、それ以外にも理由があった。簡単に言うとクルマの運転が苦手なのだ。僕にとってフィアットは、ただそばにあれば満足であって、ガンガン走りこまなくても十分な存在なのだ。相当なチューニングをしてきたこととは矛盾しているが、どんどん速くなっていっても、その性能をフルに発揮させる腕が僕にはない。運転するよりも、そのクルマの知識をため込んで、それをもとに頭のなかでいろいろと思いをめぐらす方が好きなのである。

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2006年8月12日 (土)

究極のフィアット500を求めて その16

排気量を上げたことにより、エンジンが発する熱量が大幅に増えた。エンジンオイルに関しては、オイルクーラーに加え、ノーマルの倍近いオイル量を保てる特大オイルパンを取り付けた。ボディに関しては、通常はリアエンジンフードにステイを付けて半開き状態で保持する場合が多いが、今回は違った方法にした。エンジンフードを上部1/3のところで切り離し、その部分だけステイをつけて下開きのまま保持できる形だ。そうすると、小さなリアスポイラー状になり、控えめながらかっこよい。これらのおかげで、夏場でもオーバーヒートでエンジンがタレる心配は少なくなった。問題があるとすれば、それはエンジンの始動性である。冬になると、エンジンをかけるのに手こずることが多かった。

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2006年8月 7日 (月)

究極のフィアット500を求めて その15

「出来たよ」との返事が店から届いた。ひさしぶりに見たニューマシンは、太陽の光でブルーメタリックのボディをきらきらと輝かせながら、僕の到着を待っていた。リアホイールがフェンダーぎりぎりまでせり出した姿は、わかる人にはわかる渋いかっこよさを漂わせている。エンジンはすでに暖気が終わっていた。セル1発でかかったエンジン音は、マフラーをノーマルよりも抜けのよいものに変えたこともあり、以前よりもかなり野太くなっていた。試乗に出た。予想通り、低速トルクが格段に増している。1速からそこそこ引っ張りながら3速までギアを入れると、そこで制限速度を軽くオーバーしてしまう。ブレーキは、4輪ドラム時代から比べると別次元の効き具合だ。路面が濡れているとすぐロックして、慣れていないとちょっと危険かもしれない。とにかく、やっとここまできたか、という感慨は大きかった。

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2006年8月 2日 (水)

究極のフィアット500を求めて その14

フランシス・ロンバルディに前のフィアット500のパーツが移植されることになった。それと同時に、またチューニングを施すことにした。エンジンでは、これまで650ccだった排気量を700ccにまで上げることになった。ボアアップではなく、特殊なクランクシャフトと、それに合わせたピストンとコンロッドを使用することにより、ストロークを伸ばす方法だ。店主が言うには、トルク特性がボアアップ版とはかなり違ったものになるとのことだったが、50ccの差が大きな違いとなって現れるとは、その時点では大して考えていなかった。エンジン以外では、リアブレーキもディスクに変えることにした。制動力はフロントディスク化で十分だったが、見た目をよくするという理由でリアディスクにした。ディスクブレーキにすると、ドラムよりもハブが外側に広がることになるので、結果的にホイールが外に出てフェンダーとツライチになり、かっこよいのである。フロントはイイ感じなのに、リアだけが奥に引っ込んだ状態なので、前々から不満だったのだ。それ以外では、ドレスアップだが、ウィンカーレバー周辺を変えた。後年式のフィアットではプラスチックの安っぽいものが付いているのだが、コスト削減される前の初期型フィアットでは金属製なので、質感が全然違うのだ。

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2006年7月27日 (木)

究極のフィアット500を求めて その13

フランシス・ロンバルディというのは、1970年代あたりまで存在したイタリアのカロッツェリアだ。第一次大戦では空軍のエースパイロットだったロンバルディが、第二次大戦後に自身の名前を冠した会社をつくった。そこでは小型飛行機の生産とともに、フィアットをベースにしたスペシャルボディバージョンを製造して、おもにイタリア国内で販売していた。その中でもっとも多く生産していたのが、「マイカー」というフィアット500ベースのクルマだった。控えめなドレスアップで当時そこそこの人気を博したが、アバルトのようにメカニカルチューニングには手を出さず、華々しいレース活動なども一切なかったため、今となってはコレクターズアイテムとしての価値はあまり高くない。それだけに、日本まで流れてきたフランシス・ロンバルディの数は数える程度だと言われている。僕は、この地味なロンバルディを日本人の手で超一流のマシンに仕立てて、アバルトをはじめとする「イタリアの宝」たちとそれらを手放しで礼賛する連中を撃破しようと思った。

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2006年7月24日 (月)

究極のフィアット500を求めて 番外編

いろいろご意見、ご感想をいただいておりまして、誠にありがとうございます。ひとつお伝えしておくことがございます。連載している「究極のフィアット500を求めて」は、あくまでフィクションです。こんなフィアット500があればいいなぁ、と頭の中で描いた物語をそのまま書いただけです。いろんなチューニングパーツやフランシス・ロンバルディというクルマは実際に存在していますが、それをすべて組み込んだクルマや、アホの主人公、ぶっきらぼうなフィアット屋の店主などは実在しておりません。ただクルマに関しては、理論上は製作可能なチューニング方法のみを書いてゆくつもりですが、何分クルマについてはド素人ですので、所々ありえない事例もあろうかと思います。その際はどうかご容赦のほど、よろしくお願いします。

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2006年7月22日 (土)

究極のフィアット500を求めて その12

6速ミッションのローンは続いていたものの、信用月賦の方が終わりに近づいた。そのころ店主に聞いてみた。「このロンバルディに僕のフィアットの中身を移植できるもんスか?」できるよ、もちろん、との返事。車両代は支払うが、「移植費用は前のフィアットの下取りでまかなえるんじゃないの?」という内容だ。車両代などあるはずもないので、ダメモトでローンを一応審査してもらった。だが通ってしまった。ダブルローンだが、死ぬほど働けば何とかなると思い、ローンを組んでロンバルディに乗り換えることにした。ちらっと、元のフィアットをレストアすることも考えたが、ロンバルディに漂う独特の雰囲気が大いに魅力的だった。僕にとっての理想のフィアット500像が、少しはっきりとしてきた。

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2006年7月20日 (木)

究極のフィアット500を求めて その11

チューニングレベルを上げてゆくとトラブルフリーとはいかず、壊れないまでも改善箇所が色々と出てくるので、お店には頻繁に出入りしていた。そこには商品車として他のフィアット500が並んでいるのだが、そのなかに以前から気になるフィアットがあった。それはボディカラーが珍しいメタリックブルーで、光の加減で色の映りが微妙に変わり、とてもきれいだった。またフロントマスクに格子状のグリルが付き、ダッシュボードもノーマルとは一味違う形状のものが装着されていた。店主が言うには、そのフィアットはフランシス・ロンバルディというイタリアのカロッツェリアが生産していたドレスアップバージョンで、「マイカー」というグレードとのことだった。こんなフィアットに僕のクルマのメカニズムが載っていたら完璧だろうな、と思った。借金で首の回らない身分ながら、頭のなかでは理想のフィアット500像を思い描くことは飽きずに繰り返していた。

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2006年7月18日 (火)

究極のフィアット500を求めて その10

あるとき東名高速で遠出する機会があり、フィアット500で向かった。6速に入れたまま時速130キロ前後で巡航していたが、なんの問題もなく快適なドライブであった。最高速がどれくらい出るのかについて興味はあるが、130キロ以上になるとまっすぐ走らせることが難しく危険も感じるので、試すことはなかった。やはり短いホイールベースによる安定性のなさとリアエンジンによるフロントの浮き上がりという問題は簡単には解決できない。ただ、アクセルにはまだ余裕があった。実際は追い越し車線を悠然と走っていると、抜かれたクルマが追いかけてきて無理に抜き返そうとするので、そちらの方にかなり気を遣った。見慣れぬちっこいクルマにぶち抜かれると、気分を害する連中が多いらしい。その反応を見るのが楽しくて、いけないことだが、チンタラ走っているポルシェやGT-Rなどを見かけると、手前で5速に落として走行車線のまま一気に抜き去る遊びをずいぶんと楽しんだ。言い忘れたが、クルマの中身はどんどんアップデートされていたが、外観はさびだらけのボロいノーマルフィアット500のままだったので、誰からも注目されず、こちらからも誰にも言わなかった。だからまったく目立たなかったし、それで満足していた。

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2006年7月14日 (金)

究極のフィアット500を求めて その9

ノーマルミッションでは、1速がかなり低いのですぐ吹けきる上、2速と離れているためにシフトアップしてもなかなか加速してくれない。そしてトップとなる4速で高速を走ると、車内は大変うるさい。結局のところ3速あたりでのんびり走っているときがもっとも落ち着く。一方6速ミッションとなると、1速から6速までギア比がクロスしているため加速が途切れない。6速に入れて高速を走ると、時速100キロでもエンジンは3000~4000回転あたりでとどまるので、車内の騒音は激減している。むしろ、エンジン音よりもミッション単体から発せられる音のほうが大きいくらいだ。結果として我がフィアット500は街中、高速問わず、なんのストレスも感じさせない「普通のクルマ」になっていた。

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2006年7月10日 (月)

究極のフィアット500を求めて その8

6速ミッションがついに自分のクルマに組み込まれた。メカニックの人に隣に乗ってもらい、うまくシフトするコツを教えてもらいながら店の近所を走った。シンクロメッシュ機能はなく、ギアの形状も特殊なので、低回転ではクラッチを踏んでもシフトは入らない。ダブルクラッチを踏んで、うまくシフトが入る回転域まで待たねばならない。だがひとたびエンジンが高回転域になると、軽くクラッチを踏んだ状態でもカチッ、カチッと心地よくシフトできる。なにより劇的に変化したのは、街中での乗りやすさと、高速での車内の静かさだ。

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2006年7月 8日 (土)

究極のフィアット500を求めて その7

それから幾月かが過ぎ、いよいよ6速ミッション搭載プロジェクトが動き出した。ギヤレシオは自由に選べるとのことだったが、すべて店主にまかせた。街乗り以外の用途はなかったので、そこそこクロスしながら高速でも伸びるギヤレシオで店主がオーダーすることになった。問題は費用だ。6速ミッション単体と取り付け工賃込みで約150万かかる。僕は農協へ出向き、ローンを組んだ。足りない分は店主への信用月賦にしてもらった。給料からローンと月賦と最低限の生活費を除くと、本当に何も残らない日々が始まった。ここまで入れ込んでる自分が、冷静に考えるまでもなくただの馬鹿なのはわかっていた。でも本来引きこもり気質である僕が、何とか仕事を続けていられたのは、このフィアット維持が理由だった。真っ当な社会人としての生活は破綻していたが、おおげさに言えば僕自身が破綻せずにいられたのはフィアット500のおかげだった。

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2006年7月 4日 (火)

究極のフィアット500を求めて その6

「お前の考えてるようなフィアットなら、むしろつくる側としては楽だな」そう店主は言った。「直線だけ速いクルマ、サーキットでタイムの出るクルマ、信頼性だけは抜群のクルマ、そんな何かが突出したクルマをつくる方が簡単だ。速くする分信頼性に目をつぶればよいし、壊れなくする分チューニングレベルを落とせばよいからだ」「だが、一番難しいチューニングとは、すべてのポテンシャルを上げることだ」クルマの性能は円グラフで表現されることが多い。円グラフでは、より滑らかでより大きな円を描くのが高い評価とされる。何かが飛び出ていても、反対側は引っ込んでいるのが普通だ。メーカーが出荷したノーマル状態のクルマを円グラフで表すと、小さいながらも滑らかな円を描いている。そしてその円が大きくて滑らかなら、そのクルマは高級車に分類される。円を大きくするという作業は困難でお金がかかるのだ。店主がやろうとしていたのは、ノーマルのフィアット500では考えられないような大きな円を描くことだった。彼の話を聞いているうちに、僕の迷いも消えた。

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2006年7月 2日 (日)

究極のフィアット500を求めて その5

お店にフィアットを預けてからしばらくして完成の連絡を受けた。今回のチューニング内容では感激するほどの変化は体感しないだろうと予想していたが、実際にドライブしてみると果たしてその通りだった。これといって突出したところのない、刺激も少ない平和なクルマになっていた。ただしブレーキにかんしては、ディスクのストッピングパワーの大きさにかなりの安心感を得た。というよりも、これまでのドラムブレーキがいかに頼りないものだったかを再認識させられた。全体的にみて、僕のフィアットはより「普通のクルマ」化する方向へ進もうとしていた。壊れず、無理なく流れに乗れて、大して気を遣わなくとも走る・曲がる・止まることができるフィアット500。今の国産車では、当たり前すぎて語るのも馬鹿らしい条件だ。しかし30年前のイタリアの大衆車であるフィアット500を現代に乗ると、その当たり前の条件を揃えることがいかに難しいのかがわかる。そして僕はこの時点で、本当はどんなフィアット500を求めているのかがわからなくなってきていた。元々はアバルトのようなカリカリの火の玉マシンが希望だったはすだ。乗ることそのものが興奮するような、刺激に満ちたフィアットが欲しかったはずだ。チューニングマシンってのはそういうものだと思っていた。でも今進もうとする方向は意図するものとは逆ではないのか。自分の望み通りにクルマを仕上げてもらうべきじゃないのか。ローンを払っているのは俺だしな。僕は店主と話し合うことにした。

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2006年6月28日 (水)

究極のフィアット500を求めて その4

僕のクルマは、エンジンこそチューニングされているが、そのほかは何も手を付けられていない状態だった。4輪ドラムブレーキは力いっぱい踏まないと止まらず、、サスペンションはショックが抜け気味で、ジョイントのブッシュも完全にへたっていた。ガソリンタンクは中が錆びてるし、点火系はポイントのままだ。このまま6速化して加速・巡航速度を上げてもシャシが追いついてこない、それはある意味危険でもある、と店主から言われた。「まず最初にやるべきチューニングメニューがこれだ」と渡されたリストには、フロントディスクブレーキ化、ブレーキホースのステンメッシュ化、デスビをポイントからフルトランジスタに変更、足まわりのフルオーバーホール、燃料タンクの変更、燃料ラインの引き直し、とあった。考えた末にローンを組んでメニュー通りやることにした。この時点で、エンジンチューンを合わせると、もう一台そこそこのフィアット500が買えるくらいつぎ込んだことになる。しかも、今回はあくまで前菜にすぎないのだ。6速というメインディッシュが後に控えている。これからいくらかかるのか、考えると恐ろしくなってきた。だが、すべてのチューニングを終えたフィアット500が、どんなマシンに生まれ変わっているのかを想像することが他の何にも増して楽しかった。このときの僕は、クルマのために働いている状態だった。

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2006年6月27日 (火)

究極のフィアット500を求めて その3

しばらくしてフィアット仲間とツーリングで箱根に行った。その友人のフィアットは、エンジンが650ccまでボアアップされてはいるものの、チューニングレベルはあまり高くない仕様だった。ただ、トランスミッションがノーマルの4速から5速へと積み替えられていた。高速で、その友人のフィアットを抜いた。簡単に抜き返された。もう一度抜こうとアクセルを踏んだがエンジンは吹けきり、それ以上どうやっても加速しない。その横を友人のフィアットは余裕で抜いてゆく。たかが遊びのツーリングのはずなのに、とても悔しかった。あとで聞くと、やはりミッションの違いが、特に高速では大きく影響するとのことだった。ツーリングから帰ると、さっそくフィアット屋に向かった。そこでは5速ミッションよりも強力な逸品、6速ミッションを手がけたことがあるからだ。それはイタリアのスペシャリストが、ほぼ手作りに近い形で生産するレース用ミッションで、日本ではそのフィアット屋が1機輸入し、あるフィアット500に搭載していた。そのフィアット500がクルマ雑誌で紹介された記事は何度も読んでいたので、自分もその6速ミッションを積みたい旨を店主に伝えた。だが彼の言葉は「お前のクルマにはもったいない」だった。積み替える話どころか、遠まわしに断られた。もったいない、の意味がよく理解できなかった僕は、その理由をたずねた。

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2006年6月25日 (日)

究極のフィアット500を求めて その2

フィアットはきれいに洗車されて店先に止まっていた。エンジンルームは塗装し直されており、磨きこまれたソレックスキャブと合わせて、そこだけ輝いていた。じっくりと覗き込んでいると、痛みの激しかったミッションもオーバーホールしたこと、そして650ccだとばかり思いこんでいたエンジンはほとんどノーマルに近い仕様だったことを店主は教えてくれた。新たな始動儀式や扱い方法を聞いて、試運転に出かけた。今度こそ本当に650ccへとボアアップされ、サイドドラフトのビッグキャブと高圧縮化されたエンジンは、慣らしの段階でも別物へと生まれ変わったことがわかった。街中では、流れについてゆくことくらい何の問題もなかった。その後しばらくは、仕事が終わってから毎晩のようにフィアットを連れ出して近所を走り回った。満足だった。これで十分だと思った。クルマに金をかけるのはここらでやめようと思っていた。だが、あるささいな事がきっかけとなり、僕はチューニングの底なし沼へと足を踏み入れることになる。

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2006年6月24日 (土)

究極のフィアット500を求めて その1

それを買ったのは8年前の冬だった。新車で買って2000キロも走っていないスバル・フォレスターを売り払い、替わりに30年落ちのフィアット500を手に入れた。それは個人売買で売りに出されたもので、イタリアのイタロスポーツがレストアおよびエンジンチューニングを手がけた個体だった。エンジンが500ccから650ccまでボアアップされてるから走りは余裕っすよ、と前オーナーは言っていた。陸自まで自走で名変に行ったのが、実質フィアット500の初ドライブだった。最初はシンクロのないミッションに手こずり、ギアを盛大に鳴らしていたが、コツをつかんだ帰り道では何とか普通に走らせることができるようになった。

チューニングのきっかけは故障だった。あるフィアット専門店の広告が気になり、見に行く途中でフィアットが突如息絶えた。セルを回してもエンジンに火が入る気配がない。そのお店に電話して積載車で引き取りにきてもらった。修理のついでにエンジンをチューニングすることになった。メニューとしては、キャブレター交換、バランス取り、圧縮比アップ、オイルクーラーの設置といったところだ。見積もり額は決して安いものではなかったが、店内に置かれている他のフィアットの仕事を見て信頼できると思い、お願いすることになった。1ヶ月後、完成したとの連絡を受け、お店へと向かった。続く。

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